CES 2023におけるポータブル電源
メーカーの新作発表まとめ  EcoFlow・BLUETTI・Jackery・ZENDURE

CES 2023(Consumer Electronics Show)は2023年1月5日から8日まで米国ネバダ州 ラスベガスにて開催される世界最大のデジタル関連の展示会です。

今年は、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)やVR、メタバース、ヘルステック、アグリテック、サステナビリティテックなどが目玉になっています。

日本からも新型EVを発表したソニー・ホンダモビリティをはじめ、パナソニック、TDK、Canon、旭化成などが参加しています。

この記事では、ポータブル電源メーカーの新作発表を取り上げたいと思います。

CES 2023に参加している主なポータブル電源ブランドは、「EcoFlow」「BLUETTI」「Jackery」「ZENDURE」「Anker」など。

昨年行われたCES 2022でEcoFlow WAVEやBLUETTI AC300が2022年内に発売されてます。

CES 2023で公開されている製品が2023年度中に発売される可能性はかなり高いと考えられます。

どんな製品が発売されるか気になりますね!

では、「EcoFlow」「BLUETTI」「Jackery」「ZENDURE」の順番で見ていきましょう。

情報源は各ブランドの海外サイト、YouTube、テレ東BIZの有料コンテンツなどになります。

エコフローの新製品はポータブル冷蔵庫・ポータブルエアコン・自動草刈機

EcoFlowはYouTubeでライブストリーミングを行いました。

主な内容は、「DELTA Proを中心としたホームバックアップシステムの優位性」「3つの新製品」「エコフローの開発を支える3人のユーザーインタビュー」です。

9:14からユーザーオペレーション責任者 Tim Dolidzeさんによる新製品発表が始まります。

気になった部分を翻訳しましたので、以下に掲載します。

EcoFlow CES Special Event Livestream

Stay tuned for the Special Event and more information on our CES 2023 plans!

電源の独立が緊急に必要であることを理解しており、また、私たちはこれまで以上に簡単な電源を望んでいます。

家庭向けのバックアップソリューションを導入するプロセスは非常に複雑になる場合があります。設置まで何ヶ月も待つことがあり、その間に停電に巻き込まれる可能性がある。

市販のバックアップシステムと比較し、DELTA Proを中心に組んだホームバックアップシステムははるかに簡単で優れたソリューションを提供します。

エコフローのコミットメントに基づき、シンプルで持続可能なソリューションを皆様にお届けしています。

それは大規模な21.6キロワット時の電力を供給するだけでなく240ボルトの出力を実現し、真に完全なホームソリューションとなっています。

エコフローのソリューションは、ご家庭が長い停電に悩まされている場合でも、業界で世界最速の充電を実現します。ソーラーパネルとデュアルフューエル発電機を使って無制限の電力供給ができる。

我々は発電だけでなく電力もカバーするエコシステムに向けて第一歩を踏み出しました。

2022年ポータブルエアコン「エコフロー・ウェーブ」を発売しエコシステム全体に足を踏み入れました。そして今日、3つのスマートデバイスを紹介します。

皆さんご存知のように伝統的な家庭用電化製品は大きくてかさばるし、重いので、基本的に家の外で使うようには設計されていません。

今日ご紹介するスマートデバイスは多機能でより多くの異なる目的を提供し、私たちはユーザーに完璧などこに行っても快適な生活を送ることができる電力体験を提供したいと考えています。

さて、私たちの最初のオールインワンのスマートデバイス、EcoFlow Glacierを紹介します。

携帯冷蔵庫・冷凍庫Csイノベーション賞を受賞しました。製氷機冷凍庫で世界初の受賞です。

次はEcoFlow WAVE 2です。
ヒーター付きの真の高速冷却とインレーションフリーのエアコン。フローはホット機能とコールド機能をインテリジェントに切り替えることができます。つまり夏だけでなく1年を通して使うことができます。

最後はエコフロー ブレード 屋外用芝刈り機。
従来の芝刈り機とは異なり、ブレードを使用すると、仮想境界を設定して手作業を省くことができます。
貴重な時間と芝刈りだけが、ブレードが完璧にできることではありません。
長時間の清掃も、取り付け可能な清掃キットとリバース型の世界初のロボット芝刈り機は、1つだけでなく家電部門と家庭部門の2つのCES Innovation Awardを受賞しています。

3つのスマートデバイスは全て2023年に利用可能になります。

ポータブル冷蔵庫 エコフロー グレイシャー

ポータブル冷蔵庫 EcoFlow Glacier
画像参照:PRTimes配布資料より
  • 製氷機内蔵のポータブル冷蔵庫
  • 12分で角氷が作れる
  • 250Whバッテリー内蔵(冷却で24時間、冷凍で10時間使用可能)
  • 内蔵バッテリーは交換可能タイプ
  • 情報量の多い、インタラクティブなディスプレイ
  • 強力で耐久性のある車輪(簡単に取り外し可能)
  • DC接続(XT150)でデルタ 2やDELTA Pro、DELTA Maxから給電可能

Glacierを単なる冷蔵冷凍庫と呼ぶには少し語弊があるかもしれません。250Whのバッテリーを内蔵し、氷なしで中身を冷やすことができるため、外部バッテリーは必要ありません。

EcoFlow Glacierは、1回の充電で24時間駆動するバッテリーを内蔵し、保冷に本腰を入れています。

このサイズでは世界初の冷凍庫と製氷機付きの冷蔵庫です。

また車輪がついているため可搬性が高いのが特徴。氷や飲料を入れると重くなるので、室内だけでなくキャンプサイトでもありがたい機能ですね。

氷を必要としないだけでなく、氷を作ることもできるのです。EcoFlowは、内蔵された製氷機が12分以内にキューブ状の氷を18個作り出せると話します。

冷蔵スペースは2つのコンパートメントに分かれており、1つは冷たいものを保つため、もう1つは凍ったものを保つためのものです。収納スペースの変更も可能。

また、バッテリーが内蔵されているため、そこからガジェットを充電することも可能です。

内臓バッテリーは交換可能なタイプで単体でもバッテリーとして使えます。複数個持っていれば、長時間EcoFlow Glacierを運用できますね。

使用していないバッテリーを充電しておけば、空白期間なくEcoFlow Glacierを使い続けることが可能になります。

内蔵のソーラー充電オプションにより、エコフローの他製品同様、持続可能なソリューションとなっています。また、DELTA Proをベースとしたパワーステーションと組み合わせることで、さらなるパワーとランタイムを得ることができます。

ちなみに、EcoFlow Bladeとともに、GlacierもCES 2023 Innovation AwardsのInnovation Awards Honoreeとして認定されています。

価格は発表されていないが1,000ドルあたりと言われています。北米では2023年春に発売される予定です。

アンカーからも2023年3月にポータブル冷蔵庫が発表されましたので、少し価格が変動するかもしれませんね。

ポータブルエアコン EcoFlow WAVE2

EcoFlow WAVE2 エコフローポータブルエアコンウェーブ2
画像参照:PRTimes配布資料より
  • Waveオリジナルの強化アップグレード版
  • 5100BTUのポータブルエアコン
  • ヒートポンプで暖房
  • 最大8時間のランタイム

Wave 2は、テントやキャンピングカー、小さな部屋用に設計されたポータブルACユニットである初代Waveのアップグレード版です。

旧モデルが4,000BTUしか動かせなかったのに対し、Wave 2は5,100BTUの冷却能力を持っています。また、肌寒い季節には、Wave 2はヒーターとしても機能し、電気暖房を行うことができます。EcoFlowは、内蔵バッテリーで最低出力で8時間の駆動時間があると言ってます。DCコネクタを使えば、ACインバータを使わずに電力を追加することができます。

価格は発表されていないが1,500ドルあたりと言われています。

参考記事:EcoFlow Wave ポータブルクーラー レビューとQ&Aまとめました

自動草刈機 EcoFlow Blade

自動草刈機 EcoFlow Blade
画像参照:PRTimes配布資料より

BladeはEcoFlowが「芝生掃除」と呼ぶ機能を備えた初のロボット芝刈り機。

なんかアメリカならではの発想ですね。俗にいうバギーです。

内蔵の4Gでルート計画は自動的に行われます。

アプリ操作により、ユーザーの時間と労力を大幅に節約できます。 

TimさんによるEcoFlow Glacierのスペック紹介

Timさんが動画内で製品説明をしていますので見出しを作りました。

気になる機能の部分をご覧ください。

リンクをクリックするとYouTubeに移動します。

この動画の中で面白かった部分は、ソーラーパネルがあれば暑い場所でも氷を作ることができる、ということ。

砂漠の中のキャンプ場に置いても日当たりがよければ、ソーラーパネルで発電してソーラーパネルでEcoFlow Glacierを動かして、氷を作る。

「太陽の熱でたくさんの氷ができるなんて」というのはおかしな話ですが事実なんです。

EcoFlowの思想が少しわかったような気がします。

BLUETTIはEP900 ホームバックアップシステム

参照:BLUETTI

EP900&B500という新しいホームバックアップシステムを発表しました。

AC500&BC300SをアップグレードさせたEP900&B500は、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーB500 1台で9kWhから始まり、16台のバッテリーと組み合わせた場合79kWhまで容量を拡張可能。

あらゆる太陽光発電システムに直接組み込むことができ、最大9kWのソーラーパネル入力を可能にします。

電気代を削減するピークロードシフトモードのほか、系統電源が落ちた後、10msで瞬時にバッテリー電源に切り替わるUPS(無停電電源装置)としての役割も担っています。

さらに詳しい情報は「BLUETTI 株式公開!会社概要、信頼性、将来性について詳しく解説」で随時更新しております。

Jackery 3000Proと1500Pro、携帯型風力発電機Air-Wを発表

Jackery社はエコフローやBLUETTIとは違う方向、携帯型クリーンエネルギーソリューションの分野を伸ばしていく感じに見えますね。

Jackeryからはポータブル風力発電機 Air-W車輪付き屋外用エネルギー貯蔵ソリューションLightCycle-S1Jackery LightTent-AIRの情報が出ています。

以下ツイートが「携帯型風力発電機Air-W」の画像です。発電量は200Wとのこと。

ミニ風力発電機は、最小限の構造設計と軽量なボディで、組み立てや持ち運びが簡単。

デュアルモーター設計とダブルベアリングのファンローターにより、弱風の状況でも安定した発電が可能で、太陽光や他のエネルギー源が得られない場合の代用品として最適。

Jackery LightCycle-S1は、車輪付きバッテリーは最大3500Whの電気を蓄えることができ、3500Wの電力を提供します。

車両に牽引され、運動エネルギーを電気に変換し、内蔵されたバッテリーパックを充電することができます。LightCycle-S1 “は200km走行するとフル充電になり、頑丈で衝撃に強い設計なので、長時間の移動でも安心して使用できます。

Jackery LightCycle-S1は画像が手に入らないので想像なのですが、キャンピングカーなどで牽引して電力を貯めるタイプなのかなぁ、と予想。


CES Best of Innovation Awardを受賞したJackery LightTent-AIRは、Jackery社の専門技術であるソーラーテクノロジーと未来型アウトドアリビングソリューションの融合により、キャンプの未来を再構築し、グリーンエネルギーへの24時間アクセスや全方位の安全を実現する、他に類を見ないポータブルインフレータブルテント。

このテントは、防水・難燃性のPVCコーティングされた生地で作られており、断熱性に優れ、清潔に保つためのメンテナンスも簡単。

調整可能なキャノピーに取り付けられたフレキシブルなGaAsソーラーパネルは1,200Wの電力を供給し、内蔵された蓄電モジュールに充電して夜間でも安定した電力供給を可能にします。

テントはミニマルな外観で、準備に時間をかけずに楽しむことができるよう、設営手順を合理化するシンプルさに重点を置いて設計されています。

自立型インフレータブル構造により、支柱が不要で頑丈なため、アウトドアライフ好きな方にとって快適で安全なシェルターとなります。


ポータブル電源では、Jackery 1500 Pro(Solar Generator 1500 Pro) Jackery 3000 Pro(Solar Generator 3000 Pro)の情報が出ています。

Jackery 1500 Pro and Jackery 3000 Pro
参照:Jackery Expands Pro Lineup of Award-Winning Solar Generators During CES 2023

この二つのモデルは、優れた耐候性と幅広い温度範囲での性能を備えた、アウトドア向けの製品。

特に寒冷地での使用性能を向上させ、マイナス20度での放電を実現。

また、放熱効率も30%程度向上させ、高温での使用性能も広げました。

Jackery 3000 Proは最大3,000W出力、容量3,024Wh。

Jackery1500 Proは最大1,800W出力。

この二種類のProモデルのBMSは、温度とバッテリーの状態を監視し、過電流、過充電、熱保護など12種類の保護機能を搭載。M9の耐震性と難燃性(UL 94V-0規格)も備える。

30デシベルという静音性と、BluetoothとWi-Fiでのアプリ制御あり。

バッテリーの種類は情報がないのですが、低温に強いことからリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが濃厚だと思っています。

Jackery待望のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー製品 Jackey ポータブル電源 1000 Plusのレビューを公開いたしました。

Jackery ポータブル電源 1000 Plus実機レビュー:信頼できるメーカーと安全性が備わった理想的選択肢

ZENDURE 世界初の半固体電池搭載ポータブル電源 SUPERBASE V

SUPERBASE V半固体電池搭載ポータブル電源
参照:SUPERBASE V

ZENDUREは世界初の半固体電池搭載ポータブル電源 SUPERBASE Vを展示しています。

https://twitter.com/Zendureofficial/status/1611872913443131393

そして、CES 2023 イノベーション アワードを受賞しました。

真の電力独立プロバイダーであり、最も急速に成長しているエネルギー技術の新興企業の 1 つである Zendure は、画期的な家庭用 (およびその先の) エネルギー貯蔵システムである SuperBase V を CES で入手可能であることを発表しました。 サステナビリティ、エコデザイン、スマート エネルギーのカテゴリで CES 2023 イノベーション アワードの受賞者に選ばれたこの業界初の半固体電池を備えたモジュール式のポータブル発電所は、全国のユーザーに真の電力の独立性をもたらします。 SuperBase V は、RV やオフグリッドの生活、EV の充電、家全体の電力需要、および緊急時のバックアップに最適な、ユーザーが最も必要なときに必要な場所で、より信頼性が高く、より安全でクリーンなエネルギーを提供します。

Zendure SuperBase V – the Industry’s First Plug-and-Play Energy Storage System with Semi-Solid State Batteries – Named CES 2023 Innovation Award Honoree

以下が商品説明動画です。

SUPERBASE Vや半固体電池に関しては以下の記事で説明しています。よかったらご覧ください。

参考記事:業界初の半固体電池ポータブル電源 Zendure SuperBase V

ZENDURE 世界初の半固体電池搭載ポータブル電源 SUPERBASE V

Yoshino Power 全固体電池ポータブル電源

上記のメーカー以外にもいくつか興味深いポータブル電源がありましたので軽くご紹介。

半固体電池搭載ポータブル電源 Yoshino
画像参照:https://yoshinopower.com/pages/technology

アメリカ カリフォルニアのポータブル電源メーカー Yoshino Powerです。

ちょっと吉野製作所をイメージさせて日本っぽいですね。

前項でZENDUREの半固体電池ポータブル電源を紹介しましたが、こちらはポータブル電源を全固体電池で作っているメーカーです。

Yoshinoは、世界で初めて全固体電池を搭載したポータブル電源です。可燃性の液体電解質を使用しないため、火災の危険性が非常に低く、より小さく、より速く、より安全に、より多くの電力を蓄えることができるが可能。

ZEDUREのようなホームバックアップではなく、持ち運べるポータブル電源なので日本に入ってきたときのインパクトは大きそうです。

リン酸鉄リチウムイオン電池で三元系リチウムイオン電池のポータブル電源が売れなくなってきているのが加速するかもしれませんね。

今回発表されたのは4製品 (B330、B660、B2000、 B4000) 。B2000とB4000がUPSを備えた大容量ホームバックアップシステム。

画像参照:PR Newswire配布資料