
日本でもお馴染みBLUETTI(Bluetti Power Inc)がリン酸鉄リチウムイオン電池を使用した小型ポータブル電源「Bluetti EB3A」を発表しました。
CES 2022 (2022年1月5日 ラスベガス)でお披露目。
このCESではナトリウムイオン電池も発表してBLUETTIの技術力にびっくり。
Bluettiが世界初のナトリウムイオン電池使用のポータブル電源を発表!ナトリウムイオン電池とは?
とても気になったので、BLUETTI EB3Aを先行予約販売で購入しました。
自腹で購入していますのでメリットデメリット、どちらも素直に書いています。実機がありますので何か試して欲しいことなどがありましたらコメントでお知らせください♪

第一印象としては「これがポータブル電源入門の定番でいいなぁ」。
小さなボディにきっちり基本的なスペックを詰め込みつつも安全性にも丁寧に配慮されています。
EB3Aの「A」は「Advanced(高度な)」を意味するそうです。
EB55、EB70と発売してきて、「A」をつけるというのはBluettiにとっても特別な製品である印かもしれません。
主な特徴を10点あげてみますね。
- リン酸鉄リチウムイオン電池採用
- 容量268Wh
- AC100V・出力600W(家電の電圧を下げて1,200Wまでの家電が使える)
- 200Wのソーラーパネル入力
- 30分で0〜80%充電
- UPS(無停電電源装置)つき
- Type-C PD100W
- LEDライト付き
- アプリで操作可能
- ワイヤレス充電あり
リン酸鉄リチウムイオン電池を使っている
安全性が高く、充放電サイクルが多いことからリン酸鉄リチウム電池を搭載したポータブル電源をお探しの方が増えています。
参考記事:リン酸鉄リチウム電池を搭載したポータブル電源を紹介します
簡単にリン酸鉄リチウム電池とリチウムイオン電池の違いをみてみましょう。
世界的には安全性・ライフサイクルの長さではリン酸鉄リチウム、単位あたりの電力容量や電力効率ではリチウムイオンと考えられています。
発熱量が少ないと考えられているのはリチウムイオンです。リン酸鉄リチウムは発熱があっても熱暴走が少ないので安全と言われています。
「BLUETTI EB3A」はリン酸鉄リチウム電池を使っているので、安全性が比較的高く、高寿命な製品と考えられます。
「Wood Mackenzie」にリチウムイオン電池や鉛蓄電池との比較がありましたので転載いたします。
LFPがリン酸鉄リチウムです。

出力600W(家電の電圧を下げて1,200Wまでの家電が使える)

EcoFlow社のX-Boost機能と近いものですね。
例えば、ドライヤーの必要出力が1,200Wだとすると600Wまで出力を下げて使用できるようにするもの。
出力が下がるので家電のパワーが落ちますが、使えると使えないでは大違い。
電気ケトルだとお湯が沸く時間が2倍くらいに長くなる、などなど。
200Wのソーラーパネル入力
ソーラーパネルでの充電が200Wまで可能なのはこのクラスのポータブル電源としてはとても高性能です。
例えば同じ価格帯のEcoFlow RIVER miniは最大100W、容量800Wh・7万円台のAnker PowerHouse II 800は最大120W、容量が同じくらいのJackery240は60W。
上位機種よりも優れたインプット性能を持ちます。
読者様から純正品の「BLUETTI PV200 ソーラーパネル 200W」で130W〜160Wで充電できている情報もいただきました。
フル充電に2時間ですからとんでもないスピードです。
同容量のJackery240などはコンセントでもフル充電に6時間かかりますから。
実際にソーラーパネルの実証実験を「EB3Aをソーラーパネルで充電してみよう」の項で記述しています。
本体とセットでソーラーパネルを購入する予定の方は、ソーラーパネルPV120とのセットがおすすめです。MC4ケーブル(1,980円相当)がおまけで付いてきますのでその分お得。
30分で0〜80%充電・充電のモードも3種ある

急いでいるときは1時間(430W充電)でフル充電。
普段はのんびり2時間充電(268W充電)。
充電モードをシチュエーションごとに選べるのはとても良いですね。
EB3Aでドライヤーを使ってみよう♪

では、実際にEB3Aのコンセント出力がどんなものかを家電を使って見ていきます。
キャンプや車中泊で使えると便利なドライヤー。
使用したドライヤーは、「SALANIA(サロニア) スピーディーイオンドライヤー」です。
髪が乾くのが早いので使用時間が短くすむ省エネドライヤー。
サロニアの風量調節は、TURBO(強い温風)・SET(やや強い温風)・COOL(冷風)の3段階。
TURBO(強い温風)の時に最大1200W(カタログ値)の電力を使用します。
結論としては、SET(やや強い温風)モードまではご家庭のコンセントと同じようにドライヤーが使えます。
TURBO(強い温風)は1,200Wなので電力シフト機能で600Wまで電圧を下げて使えるかな?と思ったのですが無理でした。
SET(やや強い温風)モードでも実用的ですし、全く使えない状態と比べれば雲泥の差。
動画を再生すると音が鳴りますのでご注意ください
EB3Aで車載冷凍冷蔵庫を何時間使えるか?

BLUETTI EB3Aのバッテリー容量は268Whなので、コンセントだと4時間程度、シガーソケットだと9時間程度冷蔵庫を使うことができます。
これは常にバッテリーを使っていると仮定した場合。
「ボナルカ 車載用冷蔵庫 15L」は温度が安定してしまえば電力をほとんど消費しなくなります。
実際は、上記の2倍くらいの時間使い続けることができると思います。
詳しくは「BLUETTI EB3Aで車載冷蔵庫を使ってみよう!」という記事で説明しています。
スペック紹介と画像レビュー

この項では実機を用いてスペック紹介をしていきます。
カラーはベージュとスチールグレーがラインナップにあります。黒いガジェットが多いので明るいベージュにしてみました。
外観:排気口(ファン)と吸気口の位置が非対称
まずは側面から。左側面上部には排気口とファンがあります。ファンは左上の一箇所です(BLUETTIに確認済み)

右側面下部には吸気口があります。


上記写真のような狙いなんでしょうか。排気口と吸気口が非対称の位置にあるポータブル電源は初めてみました。
実際に使ってみると右下が排気口で、左上が吸気口でした。ファンが内向きについてるのかな?BLUETTIに問い合わせしています。
ファンの回転音を動画でチェック 人によってはデメリットかも
購入された方の口コミを見るとファン音に不満が多かったです。
どのような状態でも本体は熱を持たないのでファンの性能が良いのかもしれません。
その反面、ファンが頻繁に回るのでうるさく感じることも。
充電モード(高速・標準・静音)ごとにdBを測りましたので興味のある方は動画をご覧になってください。
動画を再生すると音が鳴りますのでご注意ください
外装:背面・前面・底面・天井

上部はワイヤレス充電(15W)になっています。


前面に入出力ポートやディスプレイ、電源が集まっていて使いやすいです。

ACコンセントは100V

BLUETTI製品は100V〜120Vまで対応のAC110Vという設定が多いのですが、EB3Aは綺麗な100Vです。
110Vだと電気機器が故障することを恐れる方もいらっしゃいます。単純に消費効率が悪いというデメリットもあり。
100Vですので安心して家電が使えますね。
同梱物・取扱説明書(PDFファイルあり)

同梱物は、説明書・保証書・電源ケーブルの3点。
ソーラーパネルに接続するためのケーブル(商品名:BLUETTIポータブル電源用 MC4ケーブル EB70 EB3A に適用 長さ1.5m)やカーチャージケーブルは別売りになっています。
上記の製品はBLUETTI純正品です。長さが1.5mと短いので取り回し方によっては短いと思います。
もっと長いケーブルが必要な方には、純正延長ケーブルの「BLUETTI 延長ソーラーケーブル 5m 両端MC4」と「BLUETTI 延長ソーラーケーブル 10m 両端MC4 」があります。

BLUETTI EB3Aの取扱説明書はイラスト豊富、完璧な日本語でとてもわかりやすいです。
ネット上で見たい方は以下のリンクからPDFファイルをご覧ください。

充電ケーブルにはACアダプターがありません。ですので、充電時に発熱がありません。
持ち運びにも便利ですね。
EB3Aをソーラーパネルで充電してみよう

2022年4月中旬にEB3Aをソーラーパネルで充電しました。
天候は晴れ。13時頃、22℃、雲も風もほとんどない日でした。

納屋の軒先で充電開始!
使用したソーラーパネルは「BALDR ソーラーパネル 120W」。純正ソーラーパネル「BLUETTI PV120」より25%程度安いです。
EB3Aにはソーラー充電ケーブルが付属しませんので、BALDR ソーラーパネルのDC7909ジャックを使用して接続します。


ディスプレイに光が反射して見えにくいですが、80W〜100Wで充電できました。

アプリでも充電量が確認できます。リアルタイムに変化するのでとても面白いです。
ソーラーパネルだけでなくACコンセントからの充電でも同じように確認できます。
詳しくは「BLUETTI EB3A をソーラーパネルで充電してみよう!(実機レビュー)」で記述しています。様々なソーラーパネルでの検証記事です。
ソーラーパネル充電をしながらコンセントが使える
ソーラーパネル充電をしながらAC出力をしてみました。
使用した家電は、広電の電気毛布(188cm×130cm)です。
暖かさ「強」で90W程度必要とします。


アプリで確認してみましょう。
ソーラーパネルによる入電量が80W、電気毛布による出力量が88Wでした。
ソーラパネルでのパススルーが可能なことがわかりました。
アプリでできること
アプリでは以下の操作が行えます。
- 入力電力や出力電力の確認
- 出力(AC出力「オン・オフ」DC出力「オン・オフ」
- 入力(標準モード/高速モード/静音モードの切り替え)の管理
- ECOモードの数値設定
- LEDライトの「オン・オフ」とモード変換
- 本体の電源を切る
アプリ操作の様子を後ほど動画でお見せします。
「BLUETTI EB3A」とJackery240、EcoFlow RIVER mini、Anker 521の比較
この項ではポータブル電源を初めて購入するときに比較対象になる製品とスペックを比べてみます。
Bluetti EB3Aはエントリークラス(200Wh〜400Wh)市場を狙っていると思います。
価格帯で2製品選びました。
- Jackery240
- EcoFlow RIVER mini(ワイヤレスタイプ)
- Anker 521
ブランド | 価格 | 容量 | 出力 | 充電時間 | 電池 |
---|---|---|---|---|---|
BLUETTI | 34,980円 | 268Wh | 600W(注1) | 1時間 | リン酸鉄 |
Jackery | リチウム | ||||
EcoFlow | 38,500円 | 210Wh | 300W(注2) | 1.5時間 | リチウム |
Anker | リン酸 |
(※注1)電力シフト機能により高出力な電化製品の出力を下げることが可能。最大出力600Wですが、場合によっては600Wから最大1,200Wまでの電化製品を動かすことができます。
(※注2)X-Boost機能により300W以上600W以下の家電は電圧を300W以下まで下げて使うことができます
価格次第にはなりますが、Bluetti EB3Aの性能はずば抜けています。出力と充電時間が優れていますね。
リン酸鉄リチウムイオン電池の特徴は安全性の高さと電池寿命の長さです。
今では充電の主流となったType-C(PD)はFcoFlow、Bluettiが100W、Anker60W、Jackeryが搭載なし。
Bluetti EB3Aの定価は34,980円。性能を考えると妥当な価格でしょうか。
「安さと安定感のAnker」か「安全性・寿命の長さ・高出力のBluettiか」という構図ですね。
エントリークラスで最強の売れ筋商品になるでしょう。
参考記事:EcoFlow RIVER mini 2022年にはポータブル電源の売れ筋になりそう!
まとめ:
600W出力と268Whのリン酸鉄リチウムイオン電池を備えているEB3A。出力と容量のアンバランスさも含めてユニークな製品と言えます。
また、充電ケーブルにはACアダプターを必要としないため充電が容易になります。わずか30分で最大80%まで充電できます。つまり、コーヒーを飲んでいる間に、EB3Aに十分な電力を確保できます。
最大200Wのソーラーパネル入力もサポートするため、EB3Aはエントリーレベルのポータブル電源市場にとって非常に大きなインパクトになるでしょう。
ここまでコンパクトに高品質な技術を詰め込んでくると、なかなか他社は対抗できませんね。
「BLUETTI EB3A」これ一台あれば、ある程度の停電対策・キャンプでの使用に対応可能。
使ってみて足りない機能がわかったら、その部分を強化したものを購入するのも手だと思います。
充放電サイクルから考えて10年近く使えますので出番は必ずあります。
毎日使っていますので、気が付いたことを少しずつ追記していきます♪
2022年6月4日追記:充電量が半分を切ると、突然バッテリーが0になる現象が起きました。他にも同様な症状が起きている方がいるみたいです。
参考記事:BLUETTI EB3A バッテリー容量が突然0%になる現象について
2022年8月4日追記:上記のエラーは起きていません。快適に使えています。突然バッテリーが0になる現象は1回だけ発生しました。なんだったんだろう?
また、実機がありますので質問などがございましたらお気軽にコメントをください!
できる限り対応いたします。
以上、BLUETTI EB3A実機レビュー ドライヤーが使える!という話題でした♪