車載冷蔵庫を使いこなすには、ポータブル電源のバッテリー容量はどの程度必要でしょうか?
エコフローやアンカー(リコールになってしまいましたが)といった大手メーカーの参入で、ポータブル冷蔵庫の選択肢が広がっています。しかし、車載冷蔵庫に最適なポータブル電源の容量や出力を選ぶのは難しいですよね。
私自身、15リッターと29リッターの車載冷蔵庫を使い分けており、その利便性を実感しています。車中泊やキャンプなどのアウトドアで快適さを高めるだけでなく、災害時の食料品保存にも役立つ優れものです。
この記事では、「BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30」を例に、必要なポータブル電源の容量や出力について検証しています。
普段から、デスクの下においてアイスコーヒーやお酒、デザートを保冷しているので、実体験に基づいてお伝えできると思います。
車載冷蔵庫とポータブル電源の組み合わせについて、疑問や不明点がある方は、お気軽にコメント欄で質問してくださいね。
256Whのポータブル電源(エコフロー リバー2)を使用して、車載冷蔵庫(BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30)に電力を供給したところ、以下の結果が得られました。
- 車のシガーソケットから電力を供給した場合、約12時間の連続動作が可能でした。
- 家庭用コンセントから電力を供給した場合、約8時間の連続動作が可能でした。
この結果から、電力の取り方(DC・ACコンセント)によって、使い続けられる時間が異なることがわかりました。
車載冷蔵庫に必要なポータブル電源の容量の計算方法
- Q15リッターの車載冷蔵冷凍庫を新たに手に入れました。車内ではシガーソケットから電源を供給して問題なく利用しています。しかし、アウトドアでの利用を考えるとポータブル電源が必要になります。ポータブル電源でこの冷蔵庫を約8時間稼働させるには、どのくらいの容量の電源が最適でしょうか?
- A
必要なポータブル電源の容量を計算するには、以下の式を使います。
消費電力(W)× 使用時間(h)× 1.2(余裕率)= 必要な電源容量(Wh)
例えば、15Lの車載冷蔵冷凍庫の消費電力が30Wで、8時間使用したい場合、計算は以下のようになります。
30W × 8h × 1.2 = 288Wh
したがって、理論上は288Wh以上の容量を持つポータブル電源があれば、8時間以上の使用が可能です。
というのが理論上の回答です。
一般的な家電では、常時出力があるため定格出力がそのまま電力消費量と一致します。しかし、車載冷蔵庫は間欠運転で、一定期間ごとに運転と停止を繰り返すため、実際の電力消費量は理論値とは異なる可能性があります。
「実際の電力消費量はどうなの?」という問いに、次のセクションでは、実測データを用いて、より詳細に解説していきます。
実際の電力消費量について
上記の話は理論上のものです。実際に「BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30」とポータブル電源(DEENO ポータブル電源 X1500)を使って、1時間当たりの電力消費量を検証しました。
このポータブル冷蔵庫の消費電力は、0度設定で40Wとなっています。しかし、1時間連続使用した結果、実際の消費電力は5Wだけでした。
これは、車載冷蔵庫が設定温度に到達すると間欠運転モードに切り替わり、その消費電力が0Wから40Wの間で変動するからです。したがって、外気温が高い場合は消費電力が増えますが、それでも1時間あたりの消費電力が40Whを超えることはほとんどないでしょう。
私が使用しているのは、「BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30」です。2.4万円程度で購入しました。サイズ感的には、2Lのペットボトルが6本入ります。この記事での検証は、全てこの冷蔵庫を用いて行っています。
ポータブル冷蔵庫の電源供給方法について
車載冷蔵庫をポータブル電源で使用するためには、一般的にACコンセントかシガーソケットのいずれかから電源を供給する方法があります。
そして、車載冷蔵庫は基本的にDC電源(直流電源)で稼働しますので、シガーソケット(DC)から電源を取る方がエネルギー効率が高く、より長い時間使用できます。
では、実際の使用状況でどの程度差があるのか、次のセクションで詳しく見てみましょう。
DC給電とAC給電のそれぞれにおける持続時間の測定
DC(直流)給電とAC(交流)給電のそれぞれの持続時間を測定し、両者のパフォーマンスに違いがあるかを検証します。ポータブル電源で車載冷蔵庫を効率的に使いたい方は参考にしてくださいね。
具体的には、バッテリー残量が90%の状態から、家庭用コンセントからの給電(AC)とシガーソケットからの給電(DC)で車載冷蔵庫の持続時間を計測し、電力効率が実際にどの程度異なるのかを検証します。
使用する機材は、ポータブル電源の「エコフロー リバー2」、そして「BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30」です。
理論上は、リバー2のバッテリー容量は256Whなので、消費電力40Wの車載冷蔵庫が6.4時間程度しか使用できないのですが、結果はいかに。
実験条件として、室温をエアコンで25℃に保ち、ポータブル冷蔵庫の庫内温度を0℃の状態から始めます。これをバッテリー残量90%のポータブル電源に接続し、1時間ごとの電池残量を計測します。そして、ポータブル電源のバッテリーが0%になるまでこのプロセスを続けます。
検証の結果が以下の表になります。シガーソケットからの給電は12時間20分、コンセントからの給電は8時間12分使えました。やはりシガーソケット(DC)での給電の方が電力効率が良いですね。
しかし、バッテリーの変換効率は製品ごとに異なるため、この結果がすべての製品に当てはまるわけではありません。あくまで一つの参考として考えてください。
時間 | シガーソケット | コンセント |
30分後 | 87% | 86% |
1時間後 | 84% | 80% |
2時間後 | 75% | 71% |
3時間後 | 70% | 61% |
4時間後 | 65% | 51% |
5時間後 | 57% | 38% |
6時間後 | 51% | 28% |
7時間後 | 44% | 18% |
8時間後 | 39% | 7% |
9時間後 | 34% | 0%(8時間12分後) |
10時間後 | 28% | |
11時間後 | 23% | |
12時間後 | 17% | |
13時間後 | 0%(12時間20分後) |
車載冷蔵庫のカタログには「消費電力40W」と記載されていましたが、常時最大電力を消費するわけではないため、実際の消費電力はそれよりも少なくなります。
具体的には、シガーソケットからの給電時の消費電力は21W、コンセントからの給電時の消費電力は32Wでした。これらの数値と使用したい時間を掛けることで、必要なバッテリー容量を計算することができます。
例えば、シガーソケットからの給電で10時間使いたい場合は、「21W×10時間(h)=210Wh」となります。
お持ちの車載冷蔵庫、あるいは購入を検討している冷蔵庫の消費電力は、私が使用した冷蔵庫とは異なるかもしれません。しかし、これらの結果はある程度の目安になることでしょう。
ポータブル電源で未使用状態から0℃まで何分かかるか?
このセクションでは、未使用の状態から冷蔵庫として使用できる0℃の状態までにかかった時間を測りました。
使用したのは、「エコフロー リバー2(ポータブル電源)」、「BougeRV 車載冷蔵庫 Large 29L CRPRO30」。
室温は25℃、天気は晴れという条件下でした。そして、冷蔵庫内温度を25℃からスタートさせ、0℃になるまでの時間とその間に消費されるバッテリーの量を測定しました。
冷却モードにはEcoモードとMaxモードがあります。Ecoモードの消費電力は25~35W、Maxモードは45~55W。今回は、冷却速度を計測することが目的だったので、Maxモードを選択しました。なお、冷蔵庫が受け入れる電圧はおおよそ12.2Vでした。
検証の結果、BougeRV車載冷蔵庫は未使用状態から0℃までの冷却に30分を要しました。この過程でバッテリー容量の約10%(具体的には約26Wh)が消費されたことが確認できました。
まとめ:持続時間と安全性に基づいたポータブル電源選択ガイド
この記事を書くきっかけは、自宅用に車載冷蔵庫を購入を考えていたからでした。そのタイミングでEcoFlow Glacierが発表されたため、購入を考えたのですが高いですね。
海外ではそうでもないのですが日本に入ってくると、とてもではないですが簡単に購入できる価格ではありません。
ポータブル冷蔵庫は、年率5.45%の比較的成長産業であり、選択肢は多数あります。できる限り、電力効率が良く、安全性が高い製品を選んでくださいね。個人的には「BougeRV」をお勧めします。
ここまで見てきた通り、車載冷蔵庫は間欠運転をするため、公称値よりも実際の消費電力は格段に少ないです。
例えば、バッテリー容量が256Whのポータブル電源を使用した場合、「シガーソケットからの供給:12時間」「コンセントからの供給:8時間」を維持することができました。この結果を参考に、適切なポータブル電源の容量を選んでみてくださいね。
ポータブル電源を選ぶ際には、容量だけでなく、安全性も重要な要素です。特にアウトドアでの使用を考えると、より安全性の高い製品を選ぶことをおすすめします。
安全性の観点から、「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を使用したポータブル電源が特におすすめです。このタイプのバッテリーは、他のリチウムイオンバッテリーと比べて、以下の利点があります。
- 熱に強く、発火のリスクが低い
- 長寿命で、充放電サイクルが多い
- 環境に優しく、リサイクルが容易
一方、エコフローやBougeRVから発売されている、内蔵バッテリーを使用できるポータブル冷蔵庫には注意が必要です。これらの製品は、リチウムイオンバッテリーを使用しているため、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと比べて安全性が低いとされています。
アウトドアでポータブル電源を使用する際は、製品の仕様をよく確認し、安全性の高いバッテリーを選ぶことを心がけましょう。
ソーラーパネルを利用した充電や車の走行中にシガーソケットから充電するなどして、ポータブル電源のバッテリーを補充すれば、さらに長時間の使用も可能となります。これは特にアウトドア環境下での利用において重要なポイントとなるでしょう。
質問やわからないことがありましたら、どんなことでもお気軽にコメント欄で教えていただければと思います。
コメントをどうぞ!
とても為になる記事をありがとうございます。
車載冷蔵庫初心者です。
EENOUR45リットル 消費電力50W
を使ってます。手持ちのポータブル電源の容量が700wなので1日持つか持たないかで、
連泊は工夫が必要なので、ソーラーパネルを検討中です。ソーラーパネルの選び方はどう考えれば良いのでしょう。おすすめはありますでしょうか。
kk様、コメントありがとうございます。
古い記事で、現在更新作業中だったのですが、未完成の状態にも関わらずお読みいただき感謝申し上げます。
・EENOUR45リットルの消費電力が50W
・手持ちのポータブル電源の容量が700W
という状況で、連泊に対応するためにソーラーパネルを検討しているとのこと、理解しました。
ここで言う700Wは、実は容量の700Whを指しているのではないでしょうか。そう仮定して回答を進めます。
前提条件として、車載冷蔵庫の消費電力50Wを上回る発電能力を持つソーラーパネルを使用します。
まず、初日は天候が良ければ、車載冷蔵庫に電力を供給しつつも、ソーラーパネルでポータブル電源をフル充電状態に保つことができます。
その後、夜間はバッテリーを使って冷蔵庫を稼働させます。冷蔵庫が50W消費するとすると、約14時間以上稼働が可能です。
翌日は、消耗した分をソーラーパネルで補充しつつ、冷蔵庫への電力供給を行います。
この仕組みで連泊中も車載冷蔵庫を使い続けることが可能です(晴れていれば)。
ソーラーパネルの選び方としては、以下の3点が重要となります:
1.ソーラーパネルの出力
2.ソーラーパネルの電圧・電流がポータブル電源の許容範囲内にあること
3.ポータブル電源とソーラーパネルの接続方法を確認する
ポータブル電源の種類が分からないため、具体的なおすすめの製品を示すことは難しいですが、100W~200Wのソーラーパネルで十分かと思います。
ポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
→ すぐに役立つ!ポータブル電源とソーラーパネル接続の実用ガイド
以上になります。
また何かありましたら、コメントをいただけると幸いです♪